[電気機械器具卸売業] 新規開拓の前にやるべきこと。LTVを高め、財務を改善するWeb活用
「もっと売上を伸ばしたい。」「新しい取引先を増やしていきたい。」
事業の拡大を考えるとき、私たちは無意識に外に目を向けてしまいます。
しかし、売上を上げる答えは必ずしも「外」にあるわけではありません。
新規開拓のためにテレアポや飛び込み営業をするのも有効ですが、成約までのコストや負担がかなり大きいです。
それよりも、既存の取引先への施策を行うことで、より費用対効果の高い売上が得られる可能性があります。
本記事では、電気機械器具卸売業(※これ以降は電気屋さんと記載)の方に向けて、既存顧客との関係を深め、財務状況を改善するためのWeb活用術をお伝えします。
顧客離れの防止が、事業安定の鍵
特に電気機械器具などの専門性の高い商材を扱うビジネスにおいて、一度築いた信頼関係は最大の資産となります。
反対に、一社の取引先を失うことは、単に売上が下がる以上の損失です。
その穴を新規開拓で埋めるには、膨大な時間とコスト、現場の負担が伴いますが、顧客離れを最小限に抑えられれば、売上の見通しが立ちやすく、経営の守りも盤石になります。
新規へのアプローチはコストがかかる
新規顧客の獲得は、既存顧客の維持と比べて5倍のコストがかかり、利益率も低いのが一般的です。
新たな顧客を一人獲得するためには、商品説明や資料送付、サンプル支給、綿密なコミュニケーションなど、莫大な投資が必要となります。
加えて、最初の取引でいきなり高額商品を買う顧客は稀で、まずは低単価商品の販売と手厚いフォローで、時間をかけて信頼を築いていかなければなりません。
結果的として、顧客一人あたりの利益率は低くなってしまうのです。
簡単に取引先を変えないのがBtoB
BtoBの取引関係は、そう簡単には消えません。
特に電気機械器具などの専門品を扱う取引においては、商材が業務に影響し、失敗した時のリスクも大きいので、10年以上の取引が続くことがよくあります。
そのため、既存顧客に対しての関係維持や販促のコストが低く、関連購買や高額商品の提案も通りやすいので、利益率が高まるのです。
顧客にとっても、仕入れ先を新たに探すのはコストがかかりますから、多少値が張っても、すでに販売実績がある会社から買いたいニーズがあります。
顧客との深い付き合いが、競合にとっての障壁になる
競合にとって、最も乗り越えるのが難しい壁が、「付き合いの深さ」です。
企業の最終目的は、利益を得ること。
その利益を得るために、仕入れる商品の価格を抑えたり、高品質なブランド製品や多くの導入実績がある製品を選びます。
そんな中で、経済合理性以外の面で顧客からの支持を得ていることは、顧客離れを防ぎ、競合が入り込む隙を与えない壁になるのです。
電気機械器具卸売業の武器は、深い専門知識と広いネットワーク
電気屋さんには、専門知識を活かした提案と、広いネットワークという武器があります。
ここで言うネットワークとは、人間関係や物流網に限らず、情報へのアクセスや品揃えの意味も含んでおります。
これらの武器を活用すれば、専門分野に特化したり、幅広いメーカーの製品を扱えるメリットを活かした関連購買を促したり、物流機能を持たないメーカーとの提携で商圏を拡大したり、柔軟な展開が可能です。
顧客が買っているもの
電気機械器具と言っても、モーターやインバータ、センサー、ブレーカーなど、たくさんの種類の商品がありますし、同じ種類の商品でも価格帯が分かれています。
これらの主な販売先は、家電製品や機械設備の製造業ですが、その顧客が買っているものは、QCD(品質、原価、納期)の改善です。
例えばインバータの場合、お客様が買っているものは、電圧制御による設備の耐用年数の増加(原価の低減)や、モーターの回転を調整することによる生産の安定化(品質の向上)であります。
他の機器であっても、基本的には品質向上・原価削減・納期短縮を達成するために購入されているのです。
縦と横へのニーズ深掘りで、事業拡大
では電気屋さんは、どのような方針で既存顧客との取引を拡大すればいいのか。
その答えは、縦と横へのニーズ深掘りにあります。
縦方向の深掘りは、より根本的な問題を解決する商品であったり、今以上の精密な制御ができる上位モデルの提案などの、質を高めるイメージです。
横方向の深掘りは、導入中の製品の関連商品であったり、カテゴリの違う機器を紹介するなどの、量を増やすイメージです。
インバータを例にしますと、縦の深掘りは、現在の周波数・電圧変換機能に加え、パソコンでの運転状況が確認できるIoT対応機種による、更なる品質の安定化やコスト効率化を提案すること。
横の深掘りは、インバータを遠隔操作・設定するための機器や、電気を受け取る機械側でのノイズフィルタなど、機器の操作性や周辺機器との連携を強化するための提案などです。
LTV(顧客生涯価値)を高めるWeb施策
一般的に、LTVは次の式で求められます。
LTV = (顧客単価 × 購買頻度) × 継続期
公式から、各要素の値を増加させると、売上の増加に繋がることがわかります。
そして、顧客単価・購買頻度・継続期間、それぞれを高める基本方針は「縦と横のニーズを深く掘ること」です。
顧客単価を高める
顧客単価を高めるための施策は、商品の使い方や顧客業界と絡めた製品情報の提供などの、技術ブログの執筆です。
商材の専門知識に加え、取引先の業界に関する情報を併せて提供する事で、商品の活用アイデアや新製品の価値を伝えられ、関連購買に繋がったり、ニーズの種を蒔くことができます。
仮に検索結果に表示されなくても、情報を自社サイトにまとめておくことで、提案資料に活用できますし、Web上での自社ブランド強化に繋がるので、長い目で見れば圧倒的にプラスです。
購買頻度を増やす
購買頻度を増やす施策は、商品の新着情報をWebサイトに掲載したり、取引先へのお知らせメールの配信などです。
メール配信は売り込み感が強いと思う場合は、簡単でもよいので、Webサイトに掲載することをオススメします。
掲載の目的は、サイトから直接お問い合わせを増やすことではなく、話題作りです。
お客様に合いそうな新商品があれば、訪問時の”おみやげ”としてプリントアウトし、ニーズ調査や提案に繋げる機会を増やします。
購買のチャンスが増えるのはもちろん、顧客の反応やアクセス解析から、品揃えや提案の方向性を探ることもできますし、専門知識が蓄積されるメリットもあり、良いことづくめです。
継続期間を伸ばす
継続期間を伸ばす施策は、商品の交換時期や、取り扱い商品の生産終了(廃盤)などをメールでお知らせすることです。
具体的には、顧客の過去の請求書や納品書から、商品の導入時期と型番を整理します。
商品の交換時期や生産終了が近づいたら、該当商品を購入した顧客に対して、代替品の案内まで含めたメールを送信。
お客様の保守管理の手間を省いたり、突発的なライン停止を防止することで、顧客満足を高め、リピート受注に繋げることができます。
そこまで綿密な管理ではなくても、初めのうちは、サイトに「廃番品の代替機種選定ガイド」などの資料を掲載し、納品時などに周知することでも対応できます。
大切なのは、お客様の「助かる」を増やすことです。
財務がどう良くなるのか
次に、これらの施策が、財務にどう影響を与えるのかを見ていきましょう。
営業利益率の向上
企業ごとの差があるのは重々承知していますが、電気屋さんが管理しやすい費用は、販管費です。
即効性には欠けますが、技術ブログの蓄積やWebサイトへの情報掲載は、販管費を抑える働きがあります。
遠方へのお客様に商品説明を行う場面であれば、担当者が電話や訪問で案内していたものが、Webサイト自身が説明を行うようになります。
また、サイトを通じた関連購買や見積もり依頼を獲得できれば、売上向上にも繋がります。
仮に売上増加が難しくても、限られた人員を付加価値を上げる業務に配置できれば、自社の価格決定権の正当性を高めることが可能です。
在庫回転率の増加
お客様に合いそうな新商品のお知らせや、商品交換時期の管理と代替品の案内、ニーズの調査などを行うことで、受注機会を増やし、在庫回転率を高めることができます。
また、直接的に販売数を増加させるだけでなく、継続期間の延長や今後の発注予測に役立てることもでき、なるべく在庫負担を抑えた効率的な仕入れに繋がります。
このように、日常の仕事に少し”Web”を取り入れることで、お客様の満足度の向上や販売促進が可能となります。
この記事が、少しでも仕事のお役に立てることを祈っております。